子どもに伝えたいヨガとヨガ哲学

南アフリカで3歳・5歳の男の子を育てているヨガ講師ママです。子どもに伝えたい、子育てに役立つヨガのメソッドや哲学を発信しています。

「頑張る」と「頑張りすぎない」のバランスを見つける【ヨガ哲学】

南アフリカでヨガ講師をしているゆかりーです。

 

「ヨガができない」「自分のポーズはできていない」という言葉は、ヨガ講師をしてきて何度も耳にしました。でも大丈夫。そもそもヨガのポーズには、できるできないという概念は無いんです。それよりも大事にして欲しいのは、「頑張る」でも「頑張りすぎない」こと。

ヨガのポーズができない?

まず結論から。ヨガのポーズの目的は、決められたポーズを完璧にやることではありません。さまざまなポーズを通して、自分を観察する、今の状態に気づく、頭の中を空っぽにすることが目的です。

 

なので、できるできないという概念は捨ててしまってOKです。

 

(と言っても、子どもの頃からできるできないで判断されてきた私たちには難しいこともありますね。そういった思考の癖も、ヨガでゆるっと解けると最高です。)

 

静止した状態で体と呼吸を観察したり、じっと座って余計なことを考えないようにするのは難しいもの。だからヨガでは、体をねじったり、反ったり、伸ばしたりあらゆる動きを取り入れます。

 

すると、「右側だけ伸びないな」「前より柔軟になったな」「今日は身体が重いな」「集中力がない日だ」などと気づきが生まれます。じっと座っていると、「今日の夕飯は何しよう」「あれは嫌だったな」「将来が不安だな」と考えが浮かんできますが、ヨガのポーズ中は脳に司令を出して身体を動かすのに精一杯になるので、頭の中も空っぽにしやすいと思います。

 

静止して体と呼吸を観察したり、頭を空っぽにする方法もあります。それが「瞑想」です。でもなかなか最初は難しいので、その前の段階にヨガのポーズが存在します。

 

ちなみに、ヨガ講師が脚の位置や向きなどを変えたりするときには、解剖学上良くない、危ないからという理由のときもあります。単なる、怪我の防止。「間違っていたんだ!」などと気にしなくてOKです。

 

「頑張る」と「頑張りすぎない」のバランスが大事

ヨガのポーズはできるできないではないよ、と言うと「じゃぁ頑張らなくていいのか?」と聞かれることがあります。私は、「頑張る」と「頑張りすぎない」の良いバランスを自分で見つけることが大事だと思います。

 

ヨガの哲学には、日常生活の中でやってはいけない事」5つ、やるべきこと5つがあります。この中の、「タパス(苦行)」と「アヒムサ(非暴力)」が、「頑張ることは大事だけれど、頑張りすぎちゃダメ」という気づきに繋がります。

 

<タパス(苦行)>

タパスはすすんでやるべきこと。(美味しいスペイン料理ではありませんよ〜)日本語だと、苦行や鍛錬と訳されます。難しい課題をクリアすることで、自分の中にある不純物を燃やし、純粋になる、強くなるという教えです。

 

ヨガ的な生き方をしていて断食を実践する人が多いのは、タパスの考えが影響しています。

 

ヨガのポーズのときにも、難しいことにチャレンジして、自分のできるところまで頑張ることで心が強くなります。(もちろん身体も強くなっています!)

 

だから私も「あと一呼吸キープ」「もっと脚を曲げて」など、あと一歩だけ頑張るような声がけをすることが多いです。

 

中には「きつすぎる!なんだこれ!?」というポーズも、ヨガには多く存在します。腕に乗ったり、浮遊したり。それは、心を鍛錬することが目的です。

 

例えばプランクもそう。最初は全然できなくても、「自分にはできない」と思わず、こつこつ続けていくと誰でもできるようになります。筋肉が鍛えられた結果ですが、そのとき心も強くなっているというのがヨガ的な考えです。

 

子ども時代には鉄棒だったり、一輪車だったり・・・このような経験ができる機会が多くありますね。諦めないで挑戦すること、成功体験をすることで、自信がつき、心が強くなります。難しい課題に立ち向かうことは、身体以上に、心を鍛えるために大事なこと。だからこそ、子どもにはたくさん挑戦させてあげたいですね。

 

オトナになるとそのような機会がぐっと減ります。自分が成長しているという実感も得られません。だからこそ、ヨガはオトナに最適だと思うのです。心が強くなります。

 

<アヒムサ(非暴力)>

「頑張ること」を推奨する「タパス」という教えと同時に覚えておかなくてはいけないのが、アヒムサ(非暴力)です。ヨガの教えの1番最初に説かれています。他人にも自分にも暴力を振るってはいけないという教えです。

 

身体的な暴力は、身体を痛めつけることすべてです。過重労働に耐えたり、無理なダイエットをしたりすることも当てはまります。

 

ヨガで身体が痛いのに無理をして動かすことも自分への暴力になります。だから、ヨガのポーズは「頑張りすぎない」ことも大事。痛いところがあったり、違和感があったら、無理をして続けてはいけません。

 

アヒムサの話に戻しましょう。アヒムサは行動だけじゃなく、言葉や思考の暴力もNGとされています。暴言や悪口はもちろん、暴力に当たります。

 

意識したいのが、思考の暴力。ヨガでは暴力的なことを思っただけで、アヒムサに反すると考えます。態度や表情で雰囲気を悪くするのも良くないのです。

 

さらに言えば、「自分はダメだ」「もっと頑張らないとダメだ」「何をしてもうまくいかない」と自分を攻める考えも暴力。自分に向けての暴力は、他社に向けての暴力よりも気が付きにくいので注意が必要です。

 

子どもにも「頑張りすぎない」を教えたい

このブログは、「子どもに教えたいヨガ哲学」がテーマですが、アヒムサはまさに子どもに教えたいこと。

 

「他人に暴力はダメ!」と教えることは多いけれど、「自分を傷つけるような思考はダメ」「身体が悲鳴をあげているときに無理しちゃだめ」「自分をもっと大切に」とはなかなか教えないですね。

 

頑張ることが偉いとされがですが、ストレスの多い現代社会で生きる子どもたちには「頑張りすぎない」ことも教えていきたいものです。

ヨガポーズで心地よさを探る

ヨガの目的は、正しいポーズをとることではないので、できるできないの概念はできるだけ捨てましょう。

 

「手を上に伸ばしてキープ」とレクチャーされたら、脳みそに司令を出し、手を上に伸ばすだけでOK。キープは辛いですが、それを「頑張る」ことで、心も強くなります。肩に違和感があれば、自分で判断し、腕をおろして大丈夫です。

(もしも、ポーズを自分の判断で辞めたことを注意するようなヨガ講師に出会ったら、そのクラスは速攻辞めて良いと思います・・・。)

 

「頑張る」けれど「頑張りすぎない」ことで、自分の心地の良い限界を探っていきましょう。