子どもに伝えたいヨガとヨガ哲学

南アフリカで3歳・5歳の男の子を育てているヨガ講師ママです。子どもに伝えたい、子育てに役立つヨガのメソッドや哲学を発信しています。

子どもの人生を豊かにする「アパリグラハ(執着しない)」【ヨガ哲学】

南アフリカでヨガ講師をしている、ゆかりーです。

 

今回は、子育てが楽になる、子どもが将来生きやすくなるヒントとして、ヨガ哲学の「アパリグラハ(不貪)」を紹介します。

ヨガ哲学のアパリグラハとは

ヨガ八支則で最初に説かれている「ヤマ/やるべきでないこと」の一つに、アパリグラハがあります。日本語では、「不貪(ふとん)」と訳されます。

 

ヨガ八支則すべてはこちら↓(私の寄稿記事です)

yoganess.jp

 

アパリグラハは

・執着しないこと

・必要以上に欲しがらない

・必要以上に抱え込まない

ことを意味します。

 

モノを欲しがらない、抱えこまないという点では、「断捨離」「ミニマリスト」が近い意味合いや目的を持つと思います。

 

モノが多すぎると・・・

・管理に無駄なエネルギーを使ってしまう

・選択するときにも無駄なエネルギーを使う

・逆にストレスになる

・本当に大切なもの、欲しい物がわからなくなる

ということが起こりますね。

 

必要のないものを手放し(断舎離して)、必要なものだけで暮らす(ミニマリストになる)と、気持ちも思考もシンプルになります。モノを持ちすぎることで、執着が増えていくとも考えられています。

 

執着する、執着しないとは?

個人的には、アパリグラハの「執着しない」という教えにビビっときていて、とても大切にしています。

 

わたしたちは日常的に「執着」をしていて、それはときに自分の心を苦しめる原因になっているからです。

 

執着とは、「なにかに心をとらわれて、そこから離れられない」という状態です。

 

①お金への執着

例えば、お金に執着するとこんな思考に陥ります。

・お金がないと幸せになれない

・お金があると偉い、かっこいい(年収や職種で人間を判断する)

・高額バックや車が自分の価値のように感じる

・お金を失うことが何よりも怖い

・お金第一で、大事なことを放置(家族、人生そのものなど)

・お金を使われたら許せない(家族やパートナーであっても)

・人に与えたくない(寄付したくない、プレゼント、差し入れもお金の無駄)

 

お金は大事にしつつも、執着しないことが豊かな人生のためにいかに大切かが分かりますね。

 

過去にお金で辛い経験をすると、逆にお金に執着が生まれたりします。また、人生が会社と家の往復だけで世界が狭くなってしまうと、このような思考に陥りがちです。

 

②若さや美貌、見た目への執着

女性は、顔の作りや体重に執着することもあるでしょう。

 

若さや美貌、見た目に執着すると・・・

・年をとるのが怖い

・年を重ねたときに自分が嫌いになる、価値を感じなくなる

・美しさで人を判断する(マウンティングする)

・内面を磨く努力をしなくなる

・体重が増えたり、ニキビができたりするたびに感情が荒れる

・純粋に食事を楽しめなくなる

 

お金に執着した人と似た結果になりますね。偏った基準で人を判断するようになり、失うことを恐れ、失ったときには自分の価値が無くなる気がしてしまうわけです。

 

今はSNSで細くて(細すぎる)整った顔立ちの子を見かける影響から、若い女の子が「これが正解」と思い込んでしまうのが心配です。小学生や中学生の整形、それを応援してしまう親の動画などを見てしまうと、心底もやもやしてしまいます。

 

強すぎる美容への執着は、整形依存や拒食症へと発展します。若いが正義じゃない、見た目がすべてではない女性ほど、年齢と共に魅力が増していくなぁと感じます。

 

③人間関係への執着

家族やパートナー、恋人、友達に対して、過度に干渉をする、勝手な期待をする、独占しようとする、操作しようとするのも執着です。依存にも似ていますね。

 

人間関係も執着しすぎると、上手くいきません。

 

相手に煙たがられたり、嫌われたり、ギクシャクしたり、自分の心を病んでしまったりする原因に。悪い相手から離れるべきなのに、執着のせいで離れられないという状況も生み出してしまいます。

 

ちなみに執着が異常にエスカレートするとストーカーになります。ネットで全く自分と関係のない芸能人を叩くような人も、その芸能人に執着しているから。強すぎる執着は、相手を傷つける可能性もあります。

 

④古いルール、マニュアル、正解への執着

初めての子育ては、みなさんこの執着に苦しめられると思います。

 

例えばこんなこと

・母乳じゃないといけない

・3時間おきにミルクをあげないといけない

・○ヶ月で3語話せなければいけない

・◯歳でオムツを外さないといけない

・しっかりしないといけない

・お母さんは夜遊びしてはいけない

 

月齢や年齢による成長の平均値に執着すると、子育ては辛く大変です。

 

「子どもを最優先しなくてはいけない」「母らしくいなければならない」という思い込みに縛られるのも、ある種の執着です。

 

ルール通りにしなければという執着を捨ててしまうと、子育てはぐっと楽になります。

 

子育てにはアパリグラハが大事

「人間関係に執着しないで」というと、「子どもに執着するのは当たり前じゃない!?」という声が聞こえてきそうですが、執着と愛着は違います。

 

愛着も「心がひかれ、離れがたく思うこと」ですが、そこには相手を思いやる気持ちがあります。

 

執着は、自分勝手なものです。子どもの人生を自分の人生の一部かのようにすべての行動を知ろうとしたり、操作しようとしたり、勝手に一喜一憂したりするのは執着ではないかと思います。

 

「ママはあなたのためにこんなに頑張った」「あなたのためにこれを犠牲にした」などと押し付けるのも執着。子どもに重いプレッシャーとしてのしかかり、自由な思考や選択を奪ってしまいます。

 

さまざまな子育て本に「子どもを信じて、放っておくことの重要性」が説かれていますが、これもアパリグラハ=執着しないに通じるところがあるなぁと感じます。愛情はたっぷり与えるけれど、信じて過度な干渉や口出しはしないことが大事だそうです。

 

とはいえ、気をつけないと、どうしても親は子どもに執着してしまいがち。(私は過干渉してしまう、、、)

 

なので私も、ちょくちょくヨガ哲学について見たり書いたり伝えたりして、心に留めておくようにしています。

パリグラハを知ることで子どもは生きやすくなる

アパリグラハの「執着しない」という考えは、子どもにもぜひ知っておいて欲しい考えです。執着は感情のジェットコースターに繋がり、反対に執着しないことで、周りも自分も幸せになるからです。

 

私もついたくさんのコトやモノに執着してしまいますが、以前よりはぐっと減りました。それは、「執着しない方が生きるのが楽だな〜」と感じているからです。ヨガで「今ここ」に集中することが増えたからかもしれません。

 

「どっちでもいい(どっちでもOK)」「そういうこともあるよね」「いろんな人がいるよね、それもいいよね」と思うと心がフラットになります。子どもにもよくこの言葉を伝えています。

 

反対の表現は「これじゃなきゃだめ」「失敗はだめ」「こういう人は変、おかしい、許されない」です。

 

ヨガ哲学というと重く感じますが、心地よく生きるヒントになると嬉しいです。

 

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