子どもに伝えたいヨガとヨガ哲学

南アフリカで3歳・5歳の男の子を育てているヨガ講師ママです。子どもに伝えたい、子育てに役立つヨガのメソッドや哲学を発信しています。

「頑張る」と「頑張りすぎない」のバランスを見つける【ヨガ哲学】

南アフリカでヨガ講師をしているゆかりーです。

 

「ヨガができない」「自分のポーズはできていない」という言葉は、ヨガ講師をしてきて何度も耳にしました。でも大丈夫。そもそもヨガのポーズには、できるできないという概念は無いんです。それよりも大事にして欲しいのは、「頑張る」でも「頑張りすぎない」こと。

ヨガのポーズができない?

まず結論から。ヨガのポーズの目的は、決められたポーズを完璧にやることではありません。さまざまなポーズを通して、自分を観察する、今の状態に気づく、頭の中を空っぽにすることが目的です。

 

なので、できるできないという概念は捨ててしまってOKです。

 

(と言っても、子どもの頃からできるできないで判断されてきた私たちには難しいこともありますね。そういった思考の癖も、ヨガでゆるっと解けると最高です。)

 

静止した状態で体と呼吸を観察したり、じっと座って余計なことを考えないようにするのは難しいもの。だからヨガでは、体をねじったり、反ったり、伸ばしたりあらゆる動きを取り入れます。

 

すると、「右側だけ伸びないな」「前より柔軟になったな」「今日は身体が重いな」「集中力がない日だ」などと気づきが生まれます。じっと座っていると、「今日の夕飯は何しよう」「あれは嫌だったな」「将来が不安だな」と考えが浮かんできますが、ヨガのポーズ中は脳に司令を出して身体を動かすのに精一杯になるので、頭の中も空っぽにしやすいと思います。

 

静止して体と呼吸を観察したり、頭を空っぽにする方法もあります。それが「瞑想」です。でもなかなか最初は難しいので、その前の段階にヨガのポーズが存在します。

 

ちなみに、ヨガ講師が脚の位置や向きなどを変えたりするときには、解剖学上良くない、危ないからという理由のときもあります。単なる、怪我の防止。「間違っていたんだ!」などと気にしなくてOKです。

 

「頑張る」と「頑張りすぎない」のバランスが大事

ヨガのポーズはできるできないではないよ、と言うと「じゃぁ頑張らなくていいのか?」と聞かれることがあります。私は、「頑張る」と「頑張りすぎない」の良いバランスを自分で見つけることが大事だと思います。

 

ヨガの哲学には、日常生活の中でやってはいけない事」5つ、やるべきこと5つがあります。この中の、「タパス(苦行)」と「アヒムサ(非暴力)」が、「頑張ることは大事だけれど、頑張りすぎちゃダメ」という気づきに繋がります。

 

<タパス(苦行)>

タパスはすすんでやるべきこと。(美味しいスペイン料理ではありませんよ〜)日本語だと、苦行や鍛錬と訳されます。難しい課題をクリアすることで、自分の中にある不純物を燃やし、純粋になる、強くなるという教えです。

 

ヨガ的な生き方をしていて断食を実践する人が多いのは、タパスの考えが影響しています。

 

ヨガのポーズのときにも、難しいことにチャレンジして、自分のできるところまで頑張ることで心が強くなります。(もちろん身体も強くなっています!)

 

だから私も「あと一呼吸キープ」「もっと脚を曲げて」など、あと一歩だけ頑張るような声がけをすることが多いです。

 

中には「きつすぎる!なんだこれ!?」というポーズも、ヨガには多く存在します。腕に乗ったり、浮遊したり。それは、心を鍛錬することが目的です。

 

例えばプランクもそう。最初は全然できなくても、「自分にはできない」と思わず、こつこつ続けていくと誰でもできるようになります。筋肉が鍛えられた結果ですが、そのとき心も強くなっているというのがヨガ的な考えです。

 

子ども時代には鉄棒だったり、一輪車だったり・・・このような経験ができる機会が多くありますね。諦めないで挑戦すること、成功体験をすることで、自信がつき、心が強くなります。難しい課題に立ち向かうことは、身体以上に、心を鍛えるために大事なこと。だからこそ、子どもにはたくさん挑戦させてあげたいですね。

 

オトナになるとそのような機会がぐっと減ります。自分が成長しているという実感も得られません。だからこそ、ヨガはオトナに最適だと思うのです。心が強くなります。

 

<アヒムサ(非暴力)>

「頑張ること」を推奨する「タパス」という教えと同時に覚えておかなくてはいけないのが、アヒムサ(非暴力)です。ヨガの教えの1番最初に説かれています。他人にも自分にも暴力を振るってはいけないという教えです。

 

身体的な暴力は、身体を痛めつけることすべてです。過重労働に耐えたり、無理なダイエットをしたりすることも当てはまります。

 

ヨガで身体が痛いのに無理をして動かすことも自分への暴力になります。だから、ヨガのポーズは「頑張りすぎない」ことも大事。痛いところがあったり、違和感があったら、無理をして続けてはいけません。

 

アヒムサの話に戻しましょう。アヒムサは行動だけじゃなく、言葉や思考の暴力もNGとされています。暴言や悪口はもちろん、暴力に当たります。

 

意識したいのが、思考の暴力。ヨガでは暴力的なことを思っただけで、アヒムサに反すると考えます。態度や表情で雰囲気を悪くするのも良くないのです。

 

さらに言えば、「自分はダメだ」「もっと頑張らないとダメだ」「何をしてもうまくいかない」と自分を攻める考えも暴力。自分に向けての暴力は、他社に向けての暴力よりも気が付きにくいので注意が必要です。

 

子どもにも「頑張りすぎない」を教えたい

このブログは、「子どもに教えたいヨガ哲学」がテーマですが、アヒムサはまさに子どもに教えたいこと。

 

「他人に暴力はダメ!」と教えることは多いけれど、「自分を傷つけるような思考はダメ」「身体が悲鳴をあげているときに無理しちゃだめ」「自分をもっと大切に」とはなかなか教えないですね。

 

頑張ることが偉いとされがですが、ストレスの多い現代社会で生きる子どもたちには「頑張りすぎない」ことも教えていきたいものです。

ヨガポーズで心地よさを探る

ヨガの目的は、正しいポーズをとることではないので、できるできないの概念はできるだけ捨てましょう。

 

「手を上に伸ばしてキープ」とレクチャーされたら、脳みそに司令を出し、手を上に伸ばすだけでOK。キープは辛いですが、それを「頑張る」ことで、心も強くなります。肩に違和感があれば、自分で判断し、腕をおろして大丈夫です。

(もしも、ポーズを自分の判断で辞めたことを注意するようなヨガ講師に出会ったら、そのクラスは速攻辞めて良いと思います・・・。)

 

「頑張る」けれど「頑張りすぎない」ことで、自分の心地の良い限界を探っていきましょう。

子どもにも起こる!「寒暖差疲労」の原因と対策

南アフリカで子育て中のヨガ講師、ゆかりーです。

 

寒暖差が激しい時期は、なんだか体調が優れず、気持ちも落ち込んでしまいますよね。実は、子どもたちも同じように不調を感じています。(身体の仕組みは同じなので当然といえば当然?)

 

でも、オトナのように「寒暖差すごいから、だるくなるよね〜!」という知識はないので、なんとなく不調で気持ちがもやもやしている状態に。それが続くと辛いので、原因や解消法は知っておきたいですね。

◎寒暖差疲労の原因

気温の寒暖差が大きいことで、身体がだるく感じたり、心が不安定になったりすることを「寒暖差疲労」と言います。自律神経の機能が乱れることが原因です。

 

私たちの身体は、暑ければ汗をかいて体温下げ、寒ければ筋肉を動かしたり(寒くて震える)、血管を収縮させ筋肉を硬くすることで体温を上げています。

 

この操縦をしているのが自立神経です。寒暖差が大きいと自立神経は体温調節のために忙しく働かなくてはいけないので、疲労していきます。

 

自律神経は、呼吸器系や消化器系など全身のほとんどの器官を操縦しています。そのため、自律神経が疲れて乱れてしまうと、全身に不調が及びます。

 

これが、寒暖差→不調が起きる仕組み。オトナだけでなく、子どもの身体にも同じことが起こっています。

 

◎自律神経の乱れで起こること

前述したように自律神経は、呼吸器系や消化器系などあらゆる器官をコントロールしています。乱れてしまうと、こんな不調が・・・。

 

< 寒暖差疲労の主な症状 >

・慢性疲労

・肩こり、腰痛、頭痛

・めまい

・食欲不振

・便秘、下痢

・イライラ、無気力

・気分の浮き沈み

・冷え、むくみ

 

子どもの場合は、慢性疲労という感覚は自分では分からず「やる気がでない」「朝起きられない」「なんだか落ち着かない」「不安感がある」「イライラする」といった状態になります。感情のコントロールが難しくなってしまうことも。

 

子どもがある程度の年になったら、この仕組みを知っておくと「あ、今日から急に寒いからこんなにイライラするんだな」「身体が重いのは、寒暖差のせいか」と、自分の心と身体の状態を観察(客観視)することができます。

 

自分の心と身体の状態を観察して、「〇〇のせい」にするのは、ヨガの考え方としてとても大事です。(自分の心の意識を向けるのは、ヨガのテーマだったりします!)

 

オトナもそうですが、正体不明の不調やイライラがあると、いきなり感情が爆発して怒ったり八つ当たりしてしまったりしますよね。

 

「生理前だから体調が悪い」「寝不足だからイライラしている」と自分の状態が分かっていると、感情のコントロールがしやすくなります。

 

親としては、季節の変わり目、寒暖差が大きな日には、子どもが荒れ狂っていても「まぁ、仕方がない」と受け入れると気が楽かもしれません。(そんな冷静にいられないかもですが・・・)

 

女性でPMS月経前症候群)持ちの方は、季節の変わり目には、さらに辛い想いをしていることでしょう。PMSも何らかの原因でホルモンバランスが崩れ、自律神経が乱れることによって起こると考えられます。寒暖疲労PMSのダブルパンチは、心身共に辛い。女性は、心と身体の管理が本当に大変ですよね。

 

◎寒暖差疲労を予防・解消する方法

寒暖差疲労予防には、外的に体温調節をすることが大事。暑い日には薄着をして(特に子どもは体温が高いです)、寒い朝や寒い日にはしっかり厚着をしましょう。冷えるなぁと感じたら、お湯に手をつけたり、足湯をしたりするのも良いですね。

 

外的に体温調節をすることで、自律神経が頑張って体温調節をして疲労するのを防げます。

 

また、寒暖差疲労PMSは感じやすい人とそうでない人がいます。ポイントとなるのは、日頃から自立神経を整えているかどうかです。

 

自律神経は、副交感神経(リラックス)と交感神経(興奮、闘争、緊張)の2つでできていて、バランスを保っているのが理想的です。

 

不規則な生活やストレスの多い生活、考えすぎる思考をしていると、常に交感神経が優位な状態に。自律神経が乱れているので、ちょっとした環境の変化でも不調を感じやすくなります。これは忙しいオトナに限ったことではありません。最近の子どもたちは、緊張状態が続いて、交感神経ばかりが優位になっていると言われています。

 

反対に、楽観的だったり、自律神経を整える方法を意識的に取り入れたりしている人は、寒暖差疲労は軽くて済みます。PMSもありません。それには、本当にたくさんの方法がありますが、おすすめの4つのことをご紹介します。

 

<自律神経を整える方法>

①深呼吸をする(香りを嗅ぐだけでも◎)

②楽観的に考える(ストレスは自律神経の乱れに直結します)

③軽い運動を行う(ストレッチでも◎)

④ぼんやりする時間を作る

⑤温かい飲み物をゆっくり飲む

 

子どもたちにも深呼吸や軽い運動、温かい飲み物を習慣化させることはできそうです。

 

もちろん!ヨガもおすすめです。呼吸に合わせて身体を20〜30分動かして、心を落ち着けるなんて、自律神経を整えるのにうってつけですね。

 

慢性疲労や頭痛、めまいなどを繰り返す場合には、漢方薬も役に立ちます。自律神経失調症の方に処方している医院もあるほど。

 

自分にあった方法で自分を労って、不調を減らしていけたら良いですね。

 

怒りや悲しみでパニックの子どもを救う方法【簡単ヨガ】

南アフリカで3歳・5歳男の子を育てているヨガ講師、ゆかりーです。

 

子どもが怒りや悲しみでパニックになった経験はありませんか?喧嘩をして怒りが爆発してしまったり、叱られて泣きじゃくって止まらなくなったり。こういった状態になると、幼い子どもたちは自分で自分をコントロールすることができません。

 

そこで身につけておきたいのが、呼吸法です。深い呼吸は、脳の興奮状態を鎮めるのに非常に役立ちます。ここでは、「吐き切る呼吸法」「呼吸のカウンティング」をご紹介します。

 

子どものパニック状態、どうする?

パニック状態とは、なんらかの理由により不安や怒りの感情、行動などのコントールが難しくなることを指します。特に子どもは、まだ感情のコントロール方法を知らないため、パニック状態に陥りやすいです。

 

怒られたことをきっかけに泣いているうちに、呼吸が苦しくなり、だんだん自分でもよく分からない混乱した状態になることがあります。

 

怒りについてもそう。処理の仕方を知りません。幼ければ幼いほどモノを投げる、癇癪をおこすなど衝動的な行動を起こすのはそのためです。我が家の3歳弟はまだやります・・・。

 

パニック状態のとき、呼吸は短く浅くなっています。息が上手く吸えない状態です。だから「もう大丈夫だから、落ち着いてくれよ・・・」なんてオトナが言っても、身体が反応してくれません。

 

そんなときは「吐き切る呼吸法」や「呼吸のカウンティング」をしてもらいます。

 

ちなみにパニック障害の方にも呼吸の練習は有効だそう。パニック障害の方向けに、グループ療法で呼吸法の説明・練習を行っているメンタルクリニックもあるようです。そのくらい、呼吸は心を整えるために大事なんです。

www.mentalclinic.com

 

「吐き切る呼吸法」とは

息を吐き切ることで、呼吸を深める呼吸法です。

 

我が家では、キャンドルを消す練習を2歳くらいから定期的にしていて(子どもにとっては楽しい)、パニック状態のときには、指を目の前に差し出し「ろうそくを消してごらん」と言っています。

 

パニックになったときは、ゆっくりとろうそくを消すように口をすぼめ、息をフーっと吐き切る。これを数回繰り返していくうちに、たくさんの空気を吸い込むことができ、呼吸が正常に戻ります。

 

結果的に深呼吸できるの副交感神経が優位になり、気持ちが落ち着いてきます。

 

この方法は、まだ3歳弟には通じないのですが、5歳兄は先日泣いてしまったときに、自分で指をだしてフッーっと心を落ち着かせていました。すごい。

 

「呼吸のカウンティング」とは

もう一つ、興奮状態をおさめるのに有効なのが、呼吸のカウンティングです。「3回呼吸をしましょう」「い〜ち、に〜」などと呼吸を数えることです。

 

ヨガクラスでも呼吸を数えることがあるますが、そうすることで呼吸だけに意識が向きやすくなるからです。副交感神経が優位になり、心身共にリラックスすることができます。

 

こんなときに使えます。

・イライラしている

・怒りがおさまらない

・怒りが爆発しそう、切れそう!(アンガーマネジメント)

・緊張している

・悲しい気持ちを切り替えられない

・眠れない

 

強い怒りや悲しみを感じたら「大変だったね」と共感した上で、「じゃぁさ、5回深呼吸して、イライラ消しちゃお」などと言って深呼吸を練習させています。一緒に深呼吸をすれば、自然と気持ちが切り替わります。

 

呼吸のカウンティングは、子育てする親も使えますね。「やばい!切れそう!」と思ったら、まずは呼吸です。数々のアンガーマネジメントの本にも書いてあること。まぁ実際は、私も聖人ではないので、そんなの間に合わず怒鳴っていることもあります。

 

日常的に呼吸を深めよう

パニック状態を救う呼吸法をご紹介しましたが、そもそもイライラしないために、日頃から呼吸を深める時間を作ると良いでしょう。

 

呼吸が浅く交感神経が優位になっていると、小さなことで怒ってしまいます。これは、脳の視床下部という部分が闘争モードになっている状態なので、仕方ないといえば仕方ない現象。

 

だからこそ、必要以上に怒りたくないなら、呼吸を深くして副交感神経を優位にすることが大切です。

 

常に意識するのは難しいですから、朝の30秒、寝る前の1分などと決めて取り組んでも良いでしょう。私は朝起きたら、ベッドの中で5回ほど深呼吸をしてから身体を起こしています。ヨガのアーサナ(ポーズ)と一緒に呼吸に意識するのもおすすめです。

 

アロマ(精油)も良いですね。良い香りを嗅ぐとき、人は自然と呼吸が深くなります。子どものイライラの発散、安眠にもおすすめ。

 

ちなみに、私たちが住む南アフリカには「Aroma dough」というものもあります。香りが良い粘土。香りをかぎリラックスしながら、粘土をこねこね・・・という素敵なおもちゃです。買ったことはないですが、素敵な発想だなと感じます。

 

子どもの幸福度を上げるヨガ哲学「プラフマチャリア(禁欲)」「サントーシャ(足るを知る)」

南アフリカで3歳5歳の男の子を育てているヨガ講師、ゆかりーです。

 

子どもに伝えたいと思うヨガ哲学に「プラフマチャリア(禁欲)」と「サントーシャ(足るを知る)」があります。簡単に言えば、「欲を持ちすぎず、今あるものに感謝しようね」というもの。私自身、日常のさまざまな場面で己に言い聞かせております。子育てをする上でも役立っています。

ヨガのポーズよりも大事なこと

実はヨガのポーズって、呼吸をコントロールしたり、瞑想を深めたりする準備段階のメソッドなんです。決して、ポーズをかっこよくできるとか、間違えないとか、痩せるとかが目的ではありません。誤解されがちですが。

 

だから、ヨガはポーズにはこだわりすぎなくて大丈夫。ヨガをし終わったあと、呼吸が深まったり、瞑想しやすくなったり、すっきりしたり、自分に向き合えた感じがしたら100点満点です。

 

ヨガ哲学では、ヨガのポーズの前の段階で日常生活でやるべき行動規範が示されています。ヤマ(やるべきでないこと5つ)とニヤマ(やるべきこと5つ)です。

 

そのヤマの中にあるのが「プラフマチャリア(禁欲)」で、ニヤマの中にあるのが「サントーシャ(足るを知る)」です。

「プラフマチャリア(禁欲)」とは

もともとはインドで修行する男性向けに「女遊びばかりしてないで、修練に励みなさい」という内容だったそう。時代と共に解釈は変わり、今は「欲望に振り回されて、エネルギーを無駄遣いしないように」といった意味合いがあります。

 

人間の3大欲求である食欲・睡眠欲・性欲に、過剰に時間やエネルギーを費やさないこと。それから、物欲に支配されないようにしようという教えです。

 

ヨガ哲学では「人間の欲望は際限がないから、コントロールしないといけない」と説かれています。私もこの教えを知るまでは、欲しい欲しい人間でした。でもその先にあるのは、幸せとは限りません。

 

欲望は消えることがなく、「ブランドものが欲しい」という欲望は「自慢したい」「誰かに勝ちたい」「もっとお金が欲しい」「お金を持った人が良い」などとどんどん膨らんでいくからです。

 

子どものうちは、欲望のままに生きても良いかも知れません。でも、欲を満たすことばかりで、本来向くべきところにエネルギーが向かないのはもったいないですね。

 

子どもには

・たくさん持っている人が偉いわけではない(かっこいいわけではない)

・お金持ちが幸せになるわけではない

・欲望はキリがない

・欲望に支配されると失敗するかもよ(よくアニメでもありますね)

ということは最低限知ってほしいなと思います。

 

「サントーシャ(足るを知る)」とは

サントーシャは、今あるものの大切さに気づき、満ち足りていると感じることです。

 

「足るを知る(十分に足りていることを知ろう)」は、古代中国の思想家である老子の言葉。日本ではこちらが有名なので、よくサントーシャの説明に用いられます。

 

私はこの言葉が大好きです。計6年も海外に住んでいると、尚更その通りだと思います。海外生活は日本より不便なことも多いですが、無いものに目を向けて不満ばかり言っていても幸せになれません。あるものに目を向けて、感謝している人は、とっても素敵だなぁと思います。

 

例えば、健康な体や安全なおうち、家族、友達。世界を見れば、全然当たり前じゃありません。

 

私たちが住んでいる南アフリカは、物乞いの子どもがいて、治安も悪い。その点は、子どもたちも肌で感じているかもしれません。とはいえ、彼らが不幸なわけではありません。以前家庭教師をしてくれていた22歳の女性は「家には電気がなかったけど、家族仲良しで幸せだった。今も思い出すと最高な気持ちになる」と言っていました。信仰があるので、サントーシャのような教えがあるのかもしれません。

 

日本は便利で安全でみんな学校に行けます。でも、日本の子どもは幸福度が低いという記事を目にしたことがあります。満たされているからこそ、当たり前に感謝することって難しいですよね。

 

自分の子どもも思春期になれば、常に周囲と比べて、あれがない、これもないと悩む時期がくるでしょう。そのときまでに、この教えを少しでも理解して、「僕にはこれがある」「十分幸せだ」と自信を持って欲しいなと願います。(自分の思春期を思い出したら、それってすごく難しいことなのは分かりますが・・・)

 

子育てにおいても「サントーシャ(足るを知る)」は大事な考えです。その子が持っている身体、能力に感謝することで、親子共に幸せになります。あれができない、これができないじゃなく、「あなたはこれもできるし、こんなところも素敵ね!」と絶賛する子育てでありたいですね。

yuukariii.hatenablog.jp

 

 

今回は、子どもに伝えたいヨガ哲学を2つまとめてご紹介しました。過剰に求めない、今あるものに感謝する。これはセットで覚えておくと、子どもはもちろん、親の心の平穏や幸福度アップに繋がると思います。

 

子どもへの伝え方は、本当に難しいですよね。押し付けたら嫌がられるのは分かっています。ただ「こんな考え方もあるよ〜ん」と気軽にお話できたらいいなと思います。(ヨガの絵本とか、漫画で伝えられたらいいな)

 

あとは、自分の姿勢で見せること。自分自身がモノを持ちすぎない、今あるものに感謝をする。言葉でも「今日は晴れ!天気がいいって最高」「また旅行いけるなんて、なんて私たちは幸せものなの〜」「〇〇は健康な身体と、安全なおうちがあって、幸せだわ」と伝えていこうと思います。

 

「もっと迷惑かけていいのよ」【ヨガ哲学】

南アフリカで3歳と5歳の息子を子育て中のヨガ講師、ゆかりーです。

 

日本で育った日本人の私は「他人に迷惑をかけてはいけない」と教えられてきました。でも、子どもにはその刷り込みをしたくないなと思っています。理由は、「他人軸で生きて欲しくないから」「困っている人を助ける人になって欲しいから」です。これは、とあるインドの教えがきっかけになっています。



 

他人に迷惑をかけてはいけない日本の美徳

子どものときから迷惑をかけないように静かに座り、まっすぐ歩くことが良い子とされてきたし、迷惑がかかるようなことがあれば即座に誤り、困ったことがあっても「大丈夫です」と自分で対処してきたオトナたちも見てきた私たち。だから、それが正しいと思い込んできました。

 

でもその刷り込みのせいで

・他人の目を気にして生きている

・困っても周りに助けを求められない

・迷惑をかける可能性のある夢や目標は追いかけない

・常に自制して生きている

・他人から迷惑をかけられるのが許せない

という人が日本には多いような気がします。

 

私の中にも、家族の迷惑になるかもしれないことはやらない精神が根付いてしまっています。

 

しかし、ヨガ発祥の地インドには全くの逆とも言える教えがあります。「人は迷惑をかけて生きるもの」「誰しもが他人に迷惑をかけているのだから、他人のことも許してあげなさい」というものです。

 

これは幼い頃から教えられ、「迷惑をかけるのが人間なのだから、家族はもちろん他人でも助け合おう」という価値観が根づいているそうです。

 

これを知ったときに、目からポロッと鱗が!なんて素敵な教えなんだろうと思いました。

 

迷惑を許せる人になって欲しい

日本に一時帰国中、子連れで電車に乗っていたときに明らかに嫌な顔をしてくる人に遭遇。基本は「相当疲れているのだろう」「家族に相手にされていないのだろう」と適当な理由をつけて距離を置き気にしないようにしていますが、なんとその人は泣き出した赤ちゃんに向かって怒りをぶつけたのでした。

 

このとき「赤ちゃんは泣くものなのに!」と思い、インドの教えがふっと浮かびました。

 

きっと激怒した人は、「迷惑をかけないように」と育てられてきたのでしょう。(勝手な想像ですが)「迷惑をかけないことが善だ」とすれば、極端な話「迷惑をかけることは悪で、罰せられても良い」と思う人がでてきてしまうのは当然です。

 

その人自身、迷惑をかけたことで親から怒鳴られた経験があったならなおさらですね。

 

そうして、迷惑をかけずに自制して生きてきた結果、人に迷惑をかけるやつは絶対に許せないという人間になってしまったのだと思います。

 

どんな理由にせよ、自分の子どもにはそうなって欲しくないと強く思いました。

 

だから、伝えたいことはこう。

・人間は生きていく上で、誰でも迷惑をかけるもの

・自分も迷惑をかけている。だから、迷惑をかけられても許してあげよう

・周りに困った人がいたら助けよう

・困ったら親や友達を頼って良いんだよ(助けを求める方法は、この時代本当に教えていきたい。)

・迷惑かどうかで決めず、自分のしたいことをして良いんだよ

・もちろん、わざと迷惑をかかる行為をするのはダメだけど!

 

この日本とは大きく違う価値観を知ったことで、私自身助けを求めやすくなり、楽に生きられるようになりました。そして、他人を助けてあげようという気持ちも増えました。

 

日本には「迷惑をかけない美徳」が根強く存在しますが、少しでもこの価値観が広がってくれたら、子どもたちも生きやすいのではないかなと思います。

子どものイライラ・無気力は心のグナが乱れているサイン【ヨガ哲学】

南アフリカで子育て中のヨガ講師、ゆかりーです。

3歳と5歳の息子を育てていますが。「あ、今日は荒れているな」という日があります。そういったときは「この子は気性が激しい」なんて思わず、心のグナについて考えています。



◎心の性質3つのグナ

ヨガの世界では、心の性質には3つのグナ(属性)があるとされています。誰しもが持っているものです。

 

  1. サットヴァ(純質):純正でクリア、明るい、軽い、心身が満たれている
  2. ラジャス(激質):激しい感情、嫉妬、怒り、欲望、頑張りすぎてしまう。
  3. タマス(鈍質):鈍い、重い、暗い、執着心が強くなる。

心身が満たされていて、周囲のことを気にせず、明るい状態がサットブァ。生まれたての赤ちゃんはこの状態だと言われています。子どもがイライラしていたり、感情に振り回されいるときはラジャスの状態。どんよりしていて無気力、周囲に嫉妬などをしているのはラマスの状態です。

 

慣れない環境で疲れていたり、ストレスが溜まっている。波長が合わない人と一緒にいた、言いたいことを言えていないなどが続くと、心のグナのバランスが崩れていきます。そして、感情が荒れていきます。

 

だから、子どもの機嫌が悪い、ここ最近ずっとイライラしている、気が散っていると感じたら「あ〜心を乱される何かがあるんだね」と考えるようにしています。それだけで、子どものイライラを勝手に伝染させて自分もイライラすることはなくなります。また、話を聞いてあげる機会も積極的に作れます。

 

理想は、サットヴァが強く、他の2つもバランス良く存在すること。幸せを感じやすく、明るく、頭の中がクリアな状態。

 

心のグナのバランスを維持するため、子どもにはこのような働きかけを意識しています

・緑が多い環境に行く

・体を動かす

・やりたいこと、不満をできるだけ明確にする(自分でも分析してもらう)

・鑑賞や心配をしすぎない(親の心配は重いし、解決策にならない)

・ポジティブな影響を与える先生や友人、環境を用意する

 

 

◎子育てする親も心のグナを整えよう

オトナでもなんかイライラしているときはあるし、何もしなくない日がありますよね。それはラジャスが優位になっていたり、タマスに支配されていたりする状態です。

 

子どもがいない頃は放っておいても良かったのですが、子どもがいると、必要以上に怒りすぎてしまったり、過去のことを根にもってしまったりと良いことはありません。心地よい子育てのためにも、心のグナのバランスは意識したいですね。

 

完璧じゃない自分を責めてしまうことがある人は、これを知っていると、「心のグナのせい」にしやすいのでおすすめです(笑)子どもに怒鳴ってしまった日も、今日は「心のグナが乱れまくっていた」となるし、その上で「じゃぁ怒らないために心のグナを整えよう」と行動を導くことができます。私はよくこのせいにしています。

 

さて、サットブァを優位にするためには、自分を喜ばせることです。とことん、甘やかしてあげましょう。

 

ヨガ講師としてのおすすめは、

・深い呼吸をすること

スマホから目を話して景色を眺めること

・体の隅々まで伸ばすこと

・体を動かして心地よい疲労を感じること

・体に良いものを食べること

です。

 

サットブァが優位な状態だと、感情に振り回されず、クリアな心で子どもを見られるので、子育てが楽になります。

 

子どものイライラや無気力を感じたときにも、一旦は「グナのせい!」ということで受け流して(子どもの性質だとは絶対に思わないで!)、その上で悪い要因があれば取り除いてあげ、サットブァが優位になるような環境や体験を用意してあげるのがおすすめです。